共有地の悲劇を説明する良い教材

分かりやすい実例になっているので、メモしておく。

鰻の蒲焼は今のうちに食べておいた方が良い SHINOBY'S WORLD 内藤忍の公式ブログ」(魚拓)2018年1月17日付記事。
Yahoo!ニュースが転載している→「鰻の蒲焼は今のうちに食べておいた方が良い --- 内藤 忍 (アゴラ) - Yahoo!ニュース

季節に関係なく、毎月のようにうなぎ重を食べるくらいのうなぎ好きですが、うなぎはこれからさらに贅沢品となって滅多に食べられないものになりそうです。

日本ではうなぎは冬から春にかけて収穫した天然の稚魚を育てて、夏の土用の丑の日を中心とする需要期に出荷しています。日本経済新聞の報道によると、シラスウナギの国内漁獲量は、1963年度には232トンもあったのに、2013年度は5.2トンと過去最低まで落ち込み、2018年度はそれをさらに下回る1トンにも満たない深刻な漁獲不漁になってきているそうです。

供給が減れば、価格は上昇します。シラスウナギの稚魚の取引価格は1キロ当たり360万円と1年前の2倍近くに跳ね上がっています。過去最低の収穫量だった2013年度と比べても1.5倍の価格です。これは、5センチの小さな稚魚1匹が600円前後に相当する高値ということです。こんな高い稚魚を育てて出荷すると、お店で食べるうな重は果たしていくらになるのでしょうか。

稚魚の価格が高騰していることで、食べられるサイズの親うなぎの価格も既に1年前より2割ほど上昇しているそうです。これから夏にかけて価格上昇はこの程度では収まらないと思います。

とすれば、私のようにうなぎ好きな人は、値上がりする前に、とにかくたくさんうなぎを食べておくべきです。そのうちに上質なうな重を食べようとすると、1人前1万円といった未来も充分ありえます。

将来うなぎは、トリュフやキャビアと同じような希少性の高い高級珍味になってしまうのでしょうか。そうなれば、街中にあるうなぎ店の多くは経営が成り立たなくなり、廃業してしまうことでしょう。

この深刻な状況を打開するには稚魚の安定供給が必須です。うなぎの稚魚の養殖技術はまだ無いようですが、クロマグロの完全養殖技術が確立されたのと同じように、うなぎも何とか早く安定供給できる新しい技術が生まれて欲しいと強く期待しています。

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2018年1月にシラスウナギが記録的な不漁だという報道(解禁後2ヶ月間の実績が宮崎県で前年比1%とか静岡県で0.04%とか)が出て、話題になった。
小田嶋隆ウナギを食べたい人たちの言い訳:日経ビジネスオンライン
中央大学法学部/ウナギ保全研究ユニット「2018年漁期 シラスウナギ採捕量の減少について 序:「歴史的不漁」をどのように捉えるべきか | Kaifu Lab」2018年1月22日