元准教授3人解雇無効 札幌地裁判決-マイタウン北海道(朝日新聞)

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asahi.com:元准教授3人解雇無効 札幌地裁判決-マイタウン北海道

2010年11月13日
道教アカハラ訴訟
 北海道教育大旭川校(旭川市)の男性の准教授3人(41〜37)が学生に対し、教員の立場を利用した嫌がらせ(アカデミック・ハラスメント)をしたとして懲戒解雇された問題で、3人が同大を相手に解雇の無効などを求めた訴訟の判決が12日、札幌地裁であった。石橋俊一裁判長は「ハラスメントはあったが、解雇に相当する重大な行為ではない。懲戒権の乱用だ」として原告の請求を認め、解雇の無効と賃金の支払いを認めた。
 判決によると、3人はアイヌ語の研究プロジェクトに複数の学生を手伝わせ、一部の学生を不登校といえる状態にさせた。同大は3人に諭旨解雇を通告したが、退職願を提出しなかったため、2009年3月に懲戒解雇にした。
 判決は「研究参加に消極的な学生から、意思の確認をしなかった。学生が不登校状態になるなどしても改善策をとらなかった」とハラスメント行為はあったと認定した。
 そのうえで「消極的な学生に参加を強要したり、参加をやめた学生に不利益なことをしたりしなかった」として、積極的な人権侵害はないと判断。「大学が減給や停職のような軽い懲戒処分にして、反省の機会を与えなかったのは社会通念上、相当ではない」と述べた。
 同大は判決後に記者会見し、「厳格な調査と学内の規則に基づき処分しており、判決は大変遺憾。到底受け入れられない」と述べ、直ちに控訴する意向を示した。一方、原告側代理人の弁護士は「職場復帰と賃金の支払いなど、原告の主張がおおむね認められて満足だ」と述べた。

以前報じられていた事件の地裁判決。
【事実認定】

  1. 3人はアイヌ語の研究プロジェクトに複数の学生を手伝わせ、一部の学生を不登校といえる状態にさせた。
  2. 研究参加に消極的な学生から、意思の確認をしなかった。学生が不登校状態になるなどしても改善策をとらなかった。
  3. 消極的な学生に参加を強要したり、参加をやめた学生に不利益なことをしたりしなかった。

【判断】

  1. ハラスメントはあったが、「積極的な人権侵害」はなく、解雇不相当。
  2. 大学が軽い懲戒処分にして、反省の機会を与えなかったのは社会通念上、相当ではない。

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この事件に関して特定のサイトなどはないみたい。
参考1 :北海道教育大学旭川校、アカハラ処分訴訟 解雇権の濫用か? (全国国公私立大学の事件情報)
参考2:アカハラ解雇の無効・北海道教育大旭川校にて - ケミストの日常
参考3:北海道教育大学のアカハラ - みぃみぃさんの独り言
参考4:北海道教育大学のアカハラとセクハラ(その2) - みぃみぃさんの独り言

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学生に負荷をかけるととにかく嫌がられるのだが、負荷をかけないでは何も進まないので、そのバランスが難しい。学生個々によってその許容範囲はまちまちで、また許容範囲を制約している要因もさまざまだから、なかなか見極めのノウハウが身に付かない。個別対応をしていると、時折「○○くんには……だったのに、なぜ自分にはそうではないのか」というクレームが来るのだが、その合理的な説明は難しい。学生のプライバシーに関わることもあるし、建前で答えてもかえってその対応に関する誤った認識を持って帰られることもある。
入り口がどんどんゆるゆるになって来つつある現在、出口を狭めてしっかり勉強させようという動きも各所で広まってきているが、学生に負荷をかけようというこうした取り組みは、学生へのきめ細かい対応への要請ともあいまって、こうしたハラスメント問題を引き起こしやすい土壌につながっていかないだろうか。