中村良平『まちづくり構造改革』P.147の説明のソースかな

たぶん、これだろうと思うのだけど。
経済波及効果は約5900億円 スカイツリー1周年 関西大大学院・宮本勝浩教授が試算 - 産経ニュース(2013.5.22 23:15)

 東京スカイツリー(東京都墨田区)の開業後1年間の経済効果が約5900億円に達することが22日、分かった。「『経済効果』ってなんだろう?」(中央経済社)という著書がある関西大学大学院の宮本勝浩教授が独自に試算した。

 試算は、展望台の入場者数を約640万人、商業施設「東京ソラマチ」などを含めた東京スカイツリータウンの来場者数の合計が約5千万人の前提で、展望台にのぼる観光客の入場料や宿泊代、買い物などで約700億円、周辺施設だけに来た観光客の消費の総額を約3500億円と弾いた。

 また、これらの消費行動の波及効果も分析。飲食店などの食材の仕入れ先で売り上げが増えたり、関連企業の業績が良くなって従業員らの給与が上がり、新たな消費が生まれるといった経済循環によって約1700億円の効果が生み出されたとし、1年間のツリー効果は合計約5900億円に上るとした。

 東京の観光名所として知名度の高い東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)の平成24年度の合計入園者数は約2750万人で、これと比較しても1年目のツリーの集客力は抜群だ。

 ただ、宮本教授は今後について「TDLは小さい子供も含め、親子三代で遊べる楽しさがある。スカイツリーの展望台は、2〜3回は訪ねる魅力があるのかもしれないが、その後はTDLのように、リピーターになってもらう工夫が必要」と、課題を指摘した。

展望台利用客: 700億円
周辺施設の客:3500億円
で、
新たな消費額:1700億円
で、
合計:5900億円。
これは所得増加に伴う付加価値の増加。5900÷4200≒1.4
逆数を取ると、0.71ぐらい。限界消費性向が0.3未満ということはあり得ないから、漏出が結構大きいということだろうか。
ところで、中村氏のこの本は所々説明が曖昧だったり同一用語が異なる意味で使われていたりして、誤読を招きやすい罠があちこちにあると思う。
たとえば上記記事に関連している箇所で言うと、「波及効果」という言葉を使いながら、産業連関による中間財需要の増加の説明と、所得の乗数効果による付加価値増加の説明とを、さらっと一緒に流している。うっかり読み飛ばすと、中間財の増産が付加価値増加を生むように読めてしまって危ない。丁寧に見るときちんと書き分けられていることが分かるのだけれど、とにかく短文でさらっと書いてあるので一緒くたに読めてしまうのだ。
 
上記記事で言及されている本:「経済効果」ってなんだろう? | 宮本勝浩 | 本 | Amazon.co.jp