集落周囲の自然環境が集落の持続可能性に及ぼす効果を数値化する手がかりになるか

花粉運ぶ虫:年間貢献額4700億円 農業研が試算 - 毎日新聞(2016年2月24日 12時25分(最終更新 2月24日 13時18分))

 花粉を運び、受粉に貢献するハチなどの生物が日本の農業にもたらす利益は年間約4700億円に上るとの試算を、農業環境技術研究所茨城県つくば市)の研究グループがまとめた。このうち約70%が野生生物によるもので、リンゴやサクランボ、ウメなど果樹栽培への貢献が大きい。

 花粉を運ぶ生物の経済的価値を、野生も含めて全国規模で推定した初の例。同研究所の小沼明弘主任研究員は「欧米ではミツバチなどの減少が問題になっている。日本でもこのようなことが起こると農業生産量の減少や生産コストの増加につながる恐れがある」と、保護の重要性を訴えた。

 グループは2013年の都道府県別の農業生産額や、各種の作物が実を付けるのに昆虫などによる授粉にどれだけ依存しているかを調べたデータなどから、花粉を運ぶ生物の農業生産への経済的な貢献額を試算した。総額は約4731億円で、農作物の総生産額の8・3%。果樹のほかメロンやスイカ、トマトやナス生産への貢献が大きかった。

 都道府県別ではリンゴ生産への貢献度が高い青森県が約592億円と最高。2位はサクランボなどの山形の約412億円、3位はカボチャやメロンなどの北海道の約378億円で、以下は▽長野(リンゴなど)▽茨城(メロンや野菜など)▽熊本(メロンやスイカなど)−−の順だった。

 人間が飼育するセイヨウミツバチとマルハナバチの貢献が計約1056億円だったのに対し、昆虫を中心とした野生生物の貢献が約3330億円と大きく、保護するメリットが大きいことが示された。(共同)

研究所のプレスリリースがこちら。
日本の農業における送粉サービスの経済価値を評価(2016年2月4日 プレスリリース)魚拓

方法的には、
・各種農作物の生産額×送粉依存度を集計→送粉サービスの経済価値を推計
・送粉依存度:農作物の結果・結実の昆虫による送粉への依存度(0から1の範囲)
ということらしい。
野生の蜂などに依存している地域では、山林や草地の「経済価値」や集落の持続可能性を検討する時にも使えるのではないか。