Oターンの語義

Uターン、Iターン、Jターンという言葉は定着していると思うが、最近、Oターンという言葉を聞いた。
へぇ〜、こういう言葉は増殖する傾向があるんだねって思っていたが、さっき検索したら語義の説明が??と思ったので、メモしておく。

Oターン とは - コトバンク

デジタル大辞泉の解説
オー‐ターン【Oターン】

《(和)O+turn》1度Uターン就職した若者が、田舎暮らしの刺激のなさや保守性などに嫌気がさして、再び大都市に戻って就職する風潮。

とある。つまり、地方出身者がふたたび大都市で定住することとしているようだ。
だが、例えば、産経委行政視察その③〜西条市「Oターン推進事業について」〜 | 横手市議会議員 青山ゆたかの活動日記では、

西条市では「Oターン推進事業」についても学んだ。「Oターン」というのは例えば経験豊富な企業OBが居住を都市部に構えながら、平日は西条市で地域企業の技術開発や支援などに従事。週末に都市部へ戻るというパターンのこと。基幹技術者や、管理人材の不足が課題であった西条市が産業振興施策のひとつとして力を入れている。

という理解。また、Oターン - フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』では、

Iターン、Uターン、Jターンという言葉が先行する中で、Oターンするという表現が登場してきました。
Iターンは都会から田舎に定住すること、Uターンは地方から都会に出た人が故郷に帰って就職すること、Jターンは故郷の近くに帰ってくるパターンをいいますが、Oターンというのは一旦故郷に戻った人が農業などを楽しみながら時々都市部に戻るという生活を言うようです。

とされている。これらの例では、地方(田舎)に主たる生活拠点を置きながら都市部にも足がかりを置いておくという状態を指しているようだ。
そして私が聞いたのは、「一つのところに定住せずに、農村部に長期滞在すること」というニュアンスだった。つまりOターン者とは、UターンやIターンのような定住者ではなくて、将来はいなくなるかもしれない人、時々やってきてしばらく滞在してはまたどこかへ戻っていく人、という説明だった。
これらの例をまとめると、

  1. いったん出身地に帰ってきたが、その地での生活をあきらめて都市に戻ること
  2. 地方(田舎)で仕事や生活を営みながら、都市部にも生活拠点を持っていること
  3. 地方(田舎)に定住することなく第二の故郷やバカンスの拠点のように滞在すること

ぐらいの意味が混在しているように思う。
ただし、「いったん出身地に帰ってきたが、その地での生活をあきらめて都市に戻ること」については、上記のデジタル大辞泉の記述以外の使用例を見つけられなかった。また、残り二つのニュアンスについては、要するに、田舎と都会を行ったり来たりするという点では共通しているので、それに使用者がどういう意味を込めるかというところでニュアンスの幅が出ているだけなのかな、と思う。