「3万円→5000円の価格破壊 メガネ安売り戦争の下克上」メモ

3万円→5000円の価格破壊 メガネ安売り戦争の下克上 | Close Up | ダイヤモンド・オンライン
以下は、その要約とメモ

メガネ業界「御三家」:ジェイアイエヌ、インターメスティック、オンデーズ

3社合計の販売本数は約310万本で、年間2000万本とされる国内市場の6分の1の規模。

ジェイアイエヌ「JINS」

田中仁社長「今期の販売本数は150万本を超える。向こう数年で200万本を上回る」
JINSのメガネ価格:4990円、5990円、7990円、9990円の「フォープライス」
昨年5月から「レンズの追加料金不要」という新たな販売手法
大量のテレビコマーシャルを放映。
既存店の売上高:1年で4割増、株価:2009年2月で39円→540円(現在

オンデーズ「Owndays」

田中修治社長「メガネほど簡単で、儲かる商売はない」
5250円、7350円、9450円のスリープライス
驚異的な出店ペース(現在60店舗):2010年4月末までの1ヵ月半で10店オープン。ほぼ1週間に1店。出店計画が固まった店舗だけで100店超

インターメスティック「Zoff」

低価格メガネの草分け的存在。

3社の共通点(1) 異業種による新規参入

ジェイアイエヌ

服飾雑貨メーカー。田中社長が前橋信金(現・しののめ信金)から転職して設立。(参考

オンデーズ

ビックカメラに出向していた銀行マンが安売りチェーンを設立→フランチャイズ展開で行き詰まり→田中社長が買収、多店舗展開へ
田中社長はジャスダック上場の漫画喫茶「自遊空間」(ランシステム社)の創業メンバー

インターメスティック(上野照博社長)

アパレル出身。「ポロクラブ」ブランドのライセンスビジネス→メガネフレームメーカーがライセンシーにいた。→ブランドメガネの廉価販売に参入(1993年「ガリレオクラブ」)。

3社の共通点(2) 自社生産品を直接販売するSPA(製造小売り)

SPA: Speciality store retailer of Private label Apparel

価格破壊

日本のメガネ市場の2割を1万円以下の商品が占める(眼鏡光学出版の調査)。
平均価格:2万9814円(04年)から2万5877円(08年)に低下。
市場規模:5459億円(04年)から4259億円(08年)に縮小。
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美濃部隆・眼鏡光学出版社長「09年は4000億円を割っただろう。それでも、国内メガネ市場の50%は2万5000円以上の商品。価格破壊の流れを考えれば、市場縮小はまだまだ続きそうだ」
西木慶一郎・野村證券金融経済研究所アナリスト「消費者の需要は今後も低価格帯にシフトし続け、市場規模は年率2%で縮んでいく。企業の生き残り競争はさらに激化するだろう」
ほんの少し前までは、高級路線の三城HDが販売金額トップ、メガネトップが販売本数トップ(約200万本)で定位置だった。

低い原価率・高い販管費販管費を圧縮して安売り

三城ホールディングス(HD)、メガネトップなどの上場大手の収益構造
原価が店頭価格の2割前後、販売管理費が価格の5〜6割以上→利益は売上高の1割
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「店頭価格5000円とすれば、原価は中国製フレームが450円、国内大手の海外製レンズが2枚で450円。組み立てや運賃などその他もろもろを含めても、店頭に並ぶ時点での原価は1200円前後しかかからない」(メガネチェーン社長)。
レンズ:国内大手メーカー、フレーム:中国製

安価で大量販売

三城HD:年間約1600本(1店当たり。高価格帯が主力)
ジェイアイエヌ:年間約1万3000本
「1店当たりの販売本数は8倍だが、店員数は2倍程度で、1本販売するのにかかるコストは4分の1以下。原価ではなく、販売コストが安い」(ジェイアイエヌ田中社長)
視力測定やレンズ加工はすべて自動化、接客もほとんどない。

上場大手の業績悪化

2009年3月期 三城HDが赤字転落(業界最大手)
2010年3月  メガネトップ(業界2位)、メガネスーパーが業績予想の下方修正
メガネスーパー:08年12月から「継続企業の前提に重要な疑義が存在」という注記

低価格メガネブーム

1993年3月10日 株式会社ガリレオクラブ(現・株式会社ゾフ)設立
1993年5月20日 株式会社インターメスティック設立
2001年2月 Zoff1号店を東京・下北沢で開店
2006年10月7日 メガネトップが一律1万8900円(現在は1万5750円)、レンズの追加料金不要という「眼鏡市場」を立ち上げ→価格競争が泥沼化
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この大きな価格破壊は、広い意味でのICT革命が背景にあるような気がするのだが、どうだろう。製造小売りが一つのトレンドになっているのもそれを示しているような気がする。すなわち、製品開発の迅速さと柔軟さの実現、流通の小口化と在庫圧縮の進展、販売予測精度の向上と製品化サイクルの短期化、そして小売店舗内での生産を実現する機械装置の小型化と価格低下によって、種々の不確実性とバッチ生産、リードタイムの問題が大きく改善したために、流通が持つ諸々のバッファリング機能が不要になってきたということではないかと思っているのだが。ユニクロはもちろん好例だと思うが、他に、かつてのDPE業界とか、靴とかアパレルは広くそういう事例に当てはまるのではなかろうか。コモディティ化した財の低価格帯(ボリュームゾーン)における展開の一つのトレンドなのかもしれないと思ったり。