大学経営進路指導教諭が選ぶ「面倒見のいい大学」(大学通信)

要点をまとめるとこんな感じか。

2009年7月に大学通信が全国2000の進学高校の進路指導教諭にアンケートを実施、600校が回答。
 
問いの内容 「『面倒見のいい大学』はどこか」
「面倒見のいい」大学を5つあげてもらう。→最初の大学から、5,4,3,2,1というふうにポイントを振ってカウント。
 
以下に結果の分析っぽいものが掲載されている。
1.金沢工業大:

 365日24時間オープンの自習室があり、高校の教育課程でわからなかったこと、履修していなかった科目について質問でき、自分で学び直しができるシステムを整えている。さらに学内にある夢考房では課外活動として、学生と教職員が一体となってもの作りに取り組む。就職においても東京、名古屋、大阪に就活のためのバスを出している。

2. 少人数教育が評価されている:

2位は東北大。1年次からプレゼミを実施するなど、少人数教育には定評のあるところだ。また、上位には国際基督教大、津田塾大、名古屋商科大、武蔵大など、比較的小規模の大学が並ぶ。規模が小さいことから、学生を指導しやすいというメリットがあるようだ。

3. 国公立大では東京大を除いて、地方の大学が多いのに対して、私立大は東京の私立大が多い。
・独法化後、地方の国公立大が教育に注力、地元の高校を中心に評価が高くなってきた。
・東京の大規模私立大→授業や就職支援などのソフト面から施設・設備のハード面の充実まで学生サービスに積極的なことが評価されている。
4.進路指導教諭の大学評価は多くの場合、卒業生が母校に戻ってきたときの話や態度によることが多い。

何人もの卒業生が高く評価したり、高校時代とは見違えるようになった生徒を見たりすると、その大学の評価は高くなるようだ。大学にとって在学生の満足度を上げることが、評価アップの近道といえそうだ。

というのだが…。
単純に、全国に大学は数多あるわけで、リメディアル教育は今どきどこでもやっているし、小規模校も数多いし、「在学生の満足度を上げることが評価アップの近道」というのは大筋でそうなのかもしれないけれど、今ひとつこの報告だけだと「??」という感じ。集計結果とその解釈とのリンクが見えてこないので。…あえて詳細は省いているのかな?
少人数の手厚い学生支援体制というのが「評価アップ」に有効だとしても、それが他の施策(例えば規模の経済が大きいハード整備や有力校が持つ高い就職実績など)と比べてどれほどの意味を持つのかなどの「実際上の効果」が、実は経営戦略上は圧倒的に知りたい情報であるわけで。
もう一つの疑問は、いかに受験情報に研究熱心な進学校の担当の先生方と言えど、全国の大学をくまなく知っているわけもないはずで、しかも進学校なら、有名校・大規模校と地元以外の大学はおそらく調査対象にも入っていないのではないか。とすると、回答された先生方の所在地の偏りや大学の認知度の偏りが集計結果には含まれていることになる。こうした点で、ホットな注目を集めている一部の大学の他は、全国的知名度のある大学と、国公立大学が答えられやすかったということがあるのではないだろうか。

(付表)進路指導教諭が選ぶ面倒見のいい大学ランキング(大学通信調べ)

順位 設置 大学名 所在地 ポイント 08年 07年
1 金沢工業大 石川 301 1 1
2 東北大 宮城 123 4 5
3 立命館大 京都 111 3 3
4 国際基督教大 東京 76 2 4
5 津田塾大 東京 69 7 7
6 名古屋商科大 愛知 68 27 17
7 中央大 東京 66 5 2
  武蔵大 東京 66 8 8
9 東京大 東京 59 34 10
10 東京理科大 東京 57 12 14
11 明治大 東京 49 10 5
12 慶應義塾 東京 43 6 8
13 大阪大 大阪 42 17 17
14 東京女子大 東京 41 18 52
  立教大 東京 41 20 16
16 国際教養大 秋田 37 34 -
17 聖学院大 埼玉 36 16 17
18 成蹊大 東京 35 27 14
19 九州工業大 福岡 33 20 13
20 山形大 山形 31 34 38