雇用の常識 決着版: 「本当に見えるウソ」 (ちくま文庫)

Amazon.co.jp: 雇用の常識 決着版: 「本当に見えるウソ」 (ちくま文庫): 海老原 嗣生: 本

この本が目についたきっかけ。
東京新聞: 就職氷河期の本当の理由は、長期不況の中で企業が新規採用を…:社説・コラム(TOKYO Web)

筆洗(2012年11月7日付)
 就職氷河期の本当の理由は、長期不況の中で企業が新規採用を控えているからでも、大企業が事業所を海外に移転する空洞化でもない。雇用ジャーナリストの海老原嗣生(つぐお)さんが、自著『雇用の常識 決着版』で分析している▼その理由は大学生の激増だ。一九八五年に四百五十校だった大学は二〇〇九年には七百七十二校に。大卒就職者はバブル期の八〇年代後半と二十年後を比べると、七万二千人(二四・四%)増えている▼企業の大卒新規採用は、長期的には増加傾向にある。建設・製造業や農業、自営業など、これまで高卒の受け皿だった産業が、この二十年で壊滅的な打撃を受けたため、大学進学者が増えたという
(後略)

判然としないが、「就職氷河期」が幻想だとも、従来の高卒者が大卒者の新卒市場に流入したことが就職難の原因だとも読める。どういう数字を見ているのか、ちょっと興味を持った。

Amazon.comに投稿された批判レビュー

Amazon.co.jp: 雇用の常識 決着版: 「本当に見えるウソ」 (ちくま文庫)の akiさんのレビュー
統計資料の使い方がめちゃくちゃだという。特に20〜22ページのグラフの分析が「アクロバティック」だとか。

著者が書いたコラム

キャリアに関するデータの真相 その9:年金問題の本丸を探る②(←○に2の字)未納者を増やす風聞に注意
上記批判レビューで紹介・批判されていたコラム。リクルート社の「リクルートエージェント」というサイトの「5分で読める採用の達人」という連載ものの一部。著者はHRmics編集部というところの編集長だそうだ。
「②」(←○に2の字)とかの特殊文字を使うのは嫌だなあ…。
上記批判レビューによる批判部分を引用しておく。

まずここで
「2,000万人が厚生年金未加入者」
「年額12兆円の年金原資」
「190万法人が年金逃れ」
と噂する人がいるとのことだが、そんな人もニュースも聞いたことない。
言ってるのは筆者だけです。
筆者は誰と戦ってるのか?

また、上記リクルート記事では
「この数、1,010万人(2009年)。精査すると、このうち働く主婦率は7割だから、実際には700万人超が雇用者だろう。」
と述べてますが、著書では
「主婦。〜〜この数、1010万人(2009年)。うち500万人超が雇用者だろう。」(P129)
と後退(?)してます。

同様に
「ただし、この試算はまだ終わらない。この580万人の中に、1.の「免除対象」の低額所得者が含まれるからだ。それを除くと、たぶん、残りは400万人程度になるのではないか?もちろん、全件把握のうえ、全件徴収は現実的でないから、未加入法人問題で新規加入を見込めるのは、300万人程度が関の山だろう。」
と述べてますが、
著書では同様に自営業者の数字を差し引いた後(790万人)
「そして。何とまだとても大きな一群を忘れている。そう、公務員等だ。〜〜〜を合計すると約500万人となる。ここまで差し引くと残りはもう300万人を切る。」
となっています。
働く主婦200万人と免除対象が100万人が消えて、共済年金加入者500万人が増えてます。
どういうロジックでしょうか?