NHKアーカイブズ「歴史に見る社会保障改革 ”少子高齢化”をどう支えるか」

放送:平成24年4月8日(日)13:05-15:00

社会保障と税の一体改革」が話題の今、40年前からのアーカイブス映像を通じ、消費税と少子高齢化、年金など、歴史的にこの問題がどう認識されてきたかを見つめる。
社会保障と税の一体改革」が話題の今、40年前のアーカイブス映像を通じ、歴史的に、この問題がどう議論されてきたかをゲストとともに振り返る、2時間近い特集。消費税と少子高齢化、年金・医療・福祉のビジョンなど、課題が指摘されながら、財政の悪化もあり、問題が先送りされてきた課題も多い。問題の本質はどこにあるのか。「社会保障改革」を貴重な映像から考える。【ゲスト】藤田太寅、金子勝、宮本太郎、三神万里子
https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20120408-21-26047

おおざっぱな感想

社会保障改革においては、負担を増やすか減らすか、社会保障・福祉の水準を高めるか下げるか、このいわば収入を増やすか支出を減らすかという話ばかりに矮小化されていて、社会のあり方や社会保障の仕組みの根本的な議論が進んでいなかった、というのが番組における基本的な論調のようだった。
もちろん、研究者も含めた関係者の中では社会保障のあり方についての根本的な議論はなされていたと思うので、ここでの論点は、行政と政府(あるいは官僚と政治家)の中で具体的な政策・制度設計へ積極的に踏み出すことがなかったということだろう。

論点の一つ:

人口の年齢構成の少子高齢化核家族化の進展、働き方の変化(非正規雇用の増加)という社会状況の変化があり、社会保障・福祉の望ましい形もそれに伴って変化しているにもかかわらず、高度成長期前後の家族観や性別役割分業などを前提とした仕組みには手をつけず、単に金を取るか給付を減らすかという二者択一を国民に迫るような政策提案しか出てこなかった。

以下視聴メモ

社会保障 経済と税制
1961 国民皆保険・皆年金(池田内閣) 高度経済成長
1964   東京オリンピック
1970 高齢化率7% 大阪万博
1973 ”福祉元年”(田中内閣) 第1次オイルショック
1975 出生率1.91  
1979   第2次オイルショック
    一般消費税導入案(大平内閣)
1980   増税なき財政再建”(鈴木内閣)
1982 老人医療費無料化廃止(鈴木内閣)  
1984〜86 医療費1割自己負担  
  年金見直し(中曽根内閣) 売上税構想(中曽根内閣)
1987   バブル景気
1989 出生率1.57ショック 消費税3%(竹下内閣)
  ゴールドプラン(海部内閣)  
    冷戦崩壊
1990   バブル崩壊
1993 高齢化率14%(高齢社会) 55年体制崩壊
1994 ゴールドプラン  
  エンゼルプラン(村山内閣) 国民福祉税7%構想(細川内閣)
1995   阪神・淡路大震災
1997 医療費2割自己負担(橋本内閣) 消費税5%(橋本内閣)
    金融危機
2000 介護保険スタート(小渕内閣  
2001 ”聖域なき構造改革”(小泉内閣  
2002 医療費3割自己負担  
2003   正規雇用者が3割超える
2005 出生率1.26 人口減少社会へ  
2006   ワーキングプア
2007 高齢化率 21.5% 消えた年金問題  
2008 後期高齢者医療制度福田内閣 リーマンショック
2009   政権交代
2011   東日本大震災
2012 社会保障と税の一体改革(野田内閣)

1980年 NHK特集 年金 老後は大丈夫か

>>2940万円。年金総額。勤続30年60歳定年退職の平均的サラリーマン、平均余命78歳。夫婦で月額13万6千円。利子率とインフレ率は相殺して試算。
2940万円の内訳:320万円(本人)+320万円(会社)+590万円(国)+1710万円(若い世代の負担)
これに近い額を受け取っている人は現在は100万人、20年後は650万人ほど。若い世代の負担への不安。

サトウサンペイのアニメ。若者と老人との対立。それぞれのデモ隊が街頭で遭遇、争いになる。

65歳以上人口
番組内予想

現在 1000万人
20年後 1900万人
40年後 2600万人

結果(統計局人口統計)

1980年 1065万人
2000年 2204万人
2010年 2944万人

※予想の10年前にすでに2020年予想の2600万人を超えている。

厚生年金の受給者1人を何人で支えるか。
番組内予想

現在 12人
10年後 6人
20年後 4人
30年後 3人

実際

被保険者数 受給権者数 支える人
1980年 2,545万人 206万人 12.3
1990年 3,100万人 476万人 6.5
2000年 3,219万人 901万人 3.6
2010年 3,170万人 1310万人 2.4

10年後までの予想はほぼ的中しているが、その後の減少は予想を上回った。