かずさアカデミアパーク破綻関連(毎日新聞報道から)

2010年1月26日12時現在で検索した毎日新聞記事をまとめておく。

かずさアカデミアパーク:経営が破綻 千葉県も出資 - 毎日jp(毎日新聞)

魚拓

 千葉県が35.9%を出資し、ホテルやスポーツクラブなどを経営する第三セクター「かずさアカデミアパーク」(木更津市相原茂雄社長)が25日、千葉地裁民事再生法の適用を申請し、経営破綻(はたん)した。負債額は57億6900万円。

 県は80年代前半、バイオ関連企業や研究施設を丘陵地約273ヘクタールに誘致する構想を策定。成田空港周辺の開発、千葉市幕張新都心開発と並ぶ3大プロジェクトの一つとして、これまでに基盤整備費など約500億円を投資した。ところが、誘致が進まず、立地企業は計画段階も含め現時点で15社。分譲・賃貸する企業用地149ヘクタールのうち約44%が手つかずとなっている。

 三セクは91年に設立されたが、立地企業からの協力金が十分集まらず、05年に債務超過となり、金融機関から借り入れできなくなった。以後、県は運営資金として毎年3億〜5億円を貸し付けてきたが、存続は困難として10年度の貸し付けをしないことを決めた。貸付残高は17億3900万円。【森有正、倉田陶子、斎藤有香】
毎日新聞 2010年1月25日 20時38分(最終更新 1月25日 21時55分)

かずさアカデミアパーク:千葉の三セク破綻 負債額は57億円 県が35.9%出資 − 毎日jp(毎日新聞)

魚拓

千葉県が35・9%を出資し、ホテルやスポーツクラブなどを経営する第三セクター「かずさアカデミアパーク」(木更津市相原茂雄社長)が25日、千葉地裁民事再生法の適用を申請し、経営破綻(はたん)した。負債額は57億6900万円。

 県は80年代前半、バイオ関連企業や研究施設を丘陵地約273ヘクタールに誘致する構想を策定。成田空港周辺の開発、千葉市幕張新都心開発と並ぶ3大プロジェクトの一つとして、基盤整備費など約500億円を投資した。ところが、誘致が進まず、立地企業は計画段階も含め現時点で15社。分譲・賃貸する企業用地149ヘクタールのうち約44%が手つかずとなっている。【森有正
毎日新聞 2010年1月26日 東京朝刊

かずさアカデミアパーク破綻:県「時代にミスマッチ」 ホテル利用増に活路 /千葉 - 毎日jp(毎日新聞)

 かずさアカデミアパークの民事再生法適用申請を受け、筆頭株主の県は25日、担当幹部らが記者会見した。企業立地課の高橋謙一・推進室長は「国際的な研究機関の拠点として企業誘致しようとしたが、時代にミスマッチな部分があった」と悔しさをにじませた。

 会見で計画の見通しの甘さを問われると、高橋渡・商工労働部長は「その時点で最良の方策で進めてきた。地元金融機関や市など多くの賛同を得てやってきたことだ」と釈明した。

 今後について県側は「アクアライン800円化の効果を生かし、新しいスポンサーの下でホテル利用を増やしたい」と説明。これに対し、県内のホテル関係者は「800円化以降、都心からの旅行客が日帰りできるようになってしまい、宿泊客が減った」と指摘している。

 森田健作知事は事前に経営破綻の説明を受けていたが、この日は休暇だったため書面で談話を発表。「支援の安易な継続により県民の将来負担が増すようなことがあってはならないと考えてきた。自立した会社に生まれ変わることを期待している」とコメントした。【斎藤有香】

 ◇木更津市「地域経済に影響」 君津市「企業誘致が心配」
 第三セクターの経営破綻に、地元にも困惑が広がっている。

 県に次ぐ5憶円を出資する木更津市の水越勇雄市長は「ここ数年企業進出が増えていた。これからという矢先の民事再生法適用申請は残念。企業立地をはじめ、地域経済の影響も心配されるので、事業の継続が図られるよう願っている」とのコメントを発表した。

 2憶円を出資する君津市の鈴木洋邦市長は「パークの中核施設を運営する会社の突然の申請に驚いている。東京湾アクアラインの800円化などで企業立地が有利に進められると期待していたが、企業誘致に影響が出なければよいと心配している」と話した。

 他に袖ケ浦市と富津市も1億円ずつ出資している。【児玉賢二】
毎日新聞 2010年1月26日 地方版

かずさアカデミアパーク:民事再生法を申請 バブル期の計画、甘さ露呈 /千葉 - 毎日jp(毎日新聞)

 ◇税金穴埋め途絶え、借金体質克服できず
 学術研究と産業育成の一大拠点として県が積極的に誘致を進めてきた「かずさアカデミアパーク」事業で、ホテルなど中核施設を経営する同名の第三セクターが25日、破綻(はたん)した。91年の設立当時からの借金体質を克服できず、ここ数年は県からの貸し付けでどうにかしのいできた。バブル期に立てた県の事業計画の見通しの甘さが今後、県議会などで問われるのは必至だ。【森有正、倉田陶子、斎藤有香】

 県などが出資する第三セクター「かずさアカデミアパーク」の相原茂雄社長は25日、千葉市中央区の県弁護士会館で会見し、「県が来年度以降貸し付けを行わないことになり、民事再生に至った。関係する皆様には誠に申し訳ない」と頭を下げた。民事再生手続き申し立て後もホテルやスポーツ施設の営業を通常通り続け、今後は入札方式でスポンサーを募り、再建を進める。

 第三セクターは91年9月の設立当初は、パーク内の緑地管理事業などが中心だった。その後、97年に開業した「オークラアカデミアパークホテル」やスポーツ施設などの建設、運営が事業に加わると建設費の借り入れなどで厳しい経営に追い込まれた。

 ホテルの建設費や開業資金は、日本政策投資銀行などからの融資のほか、進出企業からの長期融資である「建設運営協力金」でまかなう計画だった。だが、その後のバブル崩壊で進出が進まず、協力金は予定通り集まらなかった。協力金制度が01年に凍結になった後は金融機関の借り入れに頼ったが、05年には債務超過に陥り、県からの毎年3億〜5億円の貸し付けが唯一の頼みだった。

 97年に開通した東京湾アクアラインによる利便性の向上で企業進出を狙ったが、通行料が高止まりし、誘致が思うように進まなかったことも影響した。県はその後、立地企業への優遇制度を設けたりしたが、景気低迷やリーマン・ショックによる企業の設備投資の冷え込みなどで、立地企業は15社にとどまり、県の資金頼みの構造から抜けきれなかった。

   ◇  ◇

 県がアカデミアパークを構想したのは1984年。発展する県土の青写真を描いた長期構想の柱である「新産業三角構想」の一角だった。

 県は誘致を90年代から本格化させた。92年9月時点で富士通など6社と立地協定を交わしていた。6社だけで企業用地149ヘクタールのうち約80ヘクタールが埋まる見通しで、県は「このままいけば順調にいくだろう」と考えた。だが、バブル崩壊以降、富士通を除く5社は00〜03年次々に撤退を表明。立地は立ち消えになり、富士通が購入した約30ヘクタールも大部分は未利用のままだ。

 今後、金融機関に対する「損失補償」の問題も浮上しそうだ。同社が借り入れた10億8000万円のうち未返済分8億6000万円が焦げ付けば、県と地元4市が負担しなければならない。同社の経営改善の見通しは不透明で、多額の県費が無駄になりかねない。

 ◇三セク社長「雇用確保したい」 行政頼みから転換必要
 第三セクター「かずさアカデミアパーク」はこれまで、ホテル経営とスポーツ施設運営を民間企業に委託してきた。相原社長は会見で「専門家のスキルでやってきた」と自負を示した。

 しかし、08年度のホテルの客室稼働率は50%程度。スポーツ施設の会員数も最近は減少傾向だといい、経営再建には抜本的な事業見直しが迫られる。

 アルバイトを含めた従業員は160人。相原社長は「雇用はできるだけ確保したい」と話したが、スポンサー企業の意向次第との側面もある。県内の経営関係者は「再建には、これまでの行政頼みの姿勢からの転換が必要だ」と指摘している。【森有正
毎日新聞 2010年1月26日 地方版