ダブルバインドで現場を責める上司みたいな文科省

"えっ、この非常時にさえICTを使わないのなぜ?"の文科省説明会[5月11日]を文字起こししてみた|まさきとみずもとかづき|note https://note.com/mmeducation/n/n9ab23ea5a385

[B! 教育] "えっ、この非常時にさえICTを使わないのなぜ?"の文科省説明会[5月11日]を文字起こししてみた|まさきとみずもとかづき|note https://b.hatena.ne.jp/entry/s/note.com/mmeducation/n/n9ab23ea5a385


賛否両論あるが、私にはリーダーシップのはき違えに映る。
ICT導入に消極的な自治体責任者も少なくないだろうし、そこを叱るのは悪くない。
しかし前に踏み出せない事情を抱えているところは少なくない。
片方で法令や文科省通知を遵守せよ、規則を守れと言いながら、もう片方で規則に縛られるなと言うのはダブルバインドであり、モラハラの典型だ。そういう責め方をされればそれは消極的にもなる。文科省の担当者なら、非常時だから無視してよい規則というものを明示する責任をまず自ら果たさねばならない。大学で言えば、たとえば著作権法は全て無視してよい、万一権利者から訴えられても文科省が全て責任を取ると明言してほしい、チマチマ例外事項で規制緩和するだけで映像作品などの扱いは「今後検討すべき課題」とか言っているのではなく。著作権法文科省所管なのだし。規則に縛られるなと言うのであれば、自ら率先して規則を破り、どれをどの程度破ってよいのかを明示するべきだ。自分が規則の総元締めなのだから。
一律平等な教育の保障をしなくてもよいという発言も身勝手だ。教育を受ける権利は憲法に明記されている基本的人権の一つだし、国には平等な教育を提供する義務がある。対応できない層は無視してよいというのであれば、対応できない層を救うための保障を具体的に示す必要があるし、どこで線を引くかを現場に丸投げし、救うためのリソースも投下しないというのであれば、そりゃ現場は混乱する。
文科省がすべきことは自治体をしかり飛ばすことではなく、アベノマスクとかお肉券とか「終息後の観光振興」とかに費やされてるカネを内閣から奪い取ってきて、教員の劇的な増員、ICT環境整備への集中投資、「三つの密」を回避して授業を実施するための資源調達……その他今まで放置していた貧弱な教育政策の挽回だろう。給食費やエアコン設置みたいな予算ですら自治体で激論をせざるを得ないような状況を今まで作っておいて、何を言っているのかという話だ。

 

追記

教科書や宿題を配って満足している学校・教育委員会は、今すぐに文科省設置のICT活用教育アドバイザーに助言を受けるべき - 斗比主閲子の姑日記https://topisyu.hatenablog.com/entry/2020/05/15/073000

文科省はそれなりの手を打とうとしているという話。ちょっと見方が変わった。現場にバリバリ動く人を派遣してほしいなあ。到底手も気も回らないんだよね………(疲弊)。