他者の管理によって依存症は治せないという話

生活保護費のプリペイドカード支給では、生活保護利用者の行動は改善できず、不正受給対策もできない(みわよしこ) - 個人 - Yahoo!ニュース(2015年1月19日 15時39分)
制度と現状を良く知っているみわよしこ氏の論評。なるほど、現実を知っている人の強みだと思える指摘が多数。
その中で、寡聞にして気付いていなかったことが一つあった。

依存症の治療では、他者によって管理することは逆効果です。
(中略)
依存対象に近寄ることがどんなに困難でも、依存症者は乗り越えてしまいます。ハードルが高くなればなるほどエスカレートします。
喫煙禁止について学生に作文を書いてもらうと、しばしば、たばこを吸える場所を減らす、あるいはなくすことによって、たばこ依存症を削減できるという論点が示されることがある。
この主張を直接否定する議論を目にした記憶はなく、少なくとも私の経験では、禁煙区域が広がることは喫煙者の健康にも良いという点はだいたい認められていたように思う。
しかし、みわ氏の指摘によれば、こうした環境規制によってたばこ依存症を解消することは困難だということになろうから、喫煙禁止賛成の論拠の一つを崩す証拠になるかもしれない。
あともう一つ知らなくて驚いたことは、大阪市ケースワーカー数が国の基準(都市部ではケースワーカー1人あたり80世帯)に比しても著しく劣悪(一人で400世帯を担当など)で、厚労省から毎年改善を指示され続けているということであった。自分の乏しい学生相談の経験から想像しても、担当世帯が80という数字自体が途方もない非現実的なものに見えるが、400を超えるとなれば、もうその仕事はケースワークではなく、単なる事務手続きのルーチンワークとして処理するという方法でこなすしか自分には思いつかない。
生活保護費の不正受給は「ノイズ」「外れ値」のようなもの」という指摘も、良い視点だと思う。