NECも出水工場を閉鎖へ

グーグルは便利ですね。ネット上の報道一覧がすぐわかる。

NEC:鹿児島工場閉鎖へ 液晶パネル、秋田工場に統合(毎日新聞

http://mainichi.jp/select/biz/news/20090305ddm008020020000c.html
東京版のみか?大阪版では見つけられなかった。

 NECは4日、産業用液晶パネルの開発・生産子会社「NEC液晶テクノロジー」(川崎市)の鹿児島工場(鹿児島県出水市)を12月末に閉鎖し、秋田工場(秋田市)に統合すると発表した。鹿児島工場の正社員(370人)と秋田工場の正社員(490人)を対象に早期退職を募集し、10年3月末までに計590人の削減を見込んでいる。

 NECは、世界的な景気低迷の影響で業績が悪化し、09年3月期の連結最終(当期)損益が2900億円の赤字になる見通し。10年3月末までにグループで2万人超を削減する方針で、今回の工場閉鎖もその一環。NEC液晶テクノロジーの生産拠点は、鹿児島と秋田の2工場。鹿児島の社員には秋田への配置転換か早期退職の選択を求める。【秋本裕子】

・会社は子会社の「NEC液晶テクノロジー
・閉鎖予定時期は2009年12月。
・370人は秋田への配転か希望退職。→会社都合退職にはならないわけかね。
派遣社員120人は契約満了を持って雇い止め
・370人が全て正社員なのか、報道に食い違いあり。後の報道では全て正社員のようだ。
・現従業員数は川崎+秋田+出水で1190人。来年3月までで590人削減して600人へ。秋田に生産を集約、本社機能の一部も秋田へ。
・出水市は県、経済団体などと「緊急経済雇用等対策会議」を設置予定。雇用支援と跡地利用問題を協議する。
・出水市の税収減は2億円と予想。


続いて南日本新聞から数本。

NEC液晶テクノロジー 12月に工場閉鎖/出水

(2009-03-04)
 NECは4日、子会社NEC液晶テクノロジー(神奈川県川崎市)の鹿児島工場(出水市大野原町)を2009年12月末に閉鎖すると発表した。
 同工場の生産機能は秋田工場(秋田市)に統合し、従業員370人は秋田工場への配置転換か、希望退職を選択する。同社幹部らが同日、出水市と鹿児島県を訪れ説明した。同市の渋谷俊彦市長は「市民生活や地域経済に大きな影響がある。市商工会議所など関連団体と相談して対応していきたい」と話した。

NEC系工場閉鎖 370人配転へ/出水 秋田に生産統合

(2009-03-05)
 NEC子会社のNEC液晶テクノロジー川崎市)は4日、鹿児島工場(出水市大野原町)を2009年12月末に閉鎖すると発表した。生産を秋田工場(秋田市)に統合し、正社員370人には、秋田工場への配置転換か退職の希望を募る。派遣社員120人は契約満了で雇用を順次終了する。
 同じ敷地にあったパイオニア鹿児島工場も2月末で閉鎖、511人が退職しており、地域経済へ影響がさらに広がりそうだ。
 NEC液晶テクノロジー鹿児島工場は医療・産業用機器の液晶画面を生産。同社によると、世界同時不況で昨年10月以降、大幅な減収減益となり、生産調整や勤務態勢の変更で対応してきたが、当面、回復の見込みがないことから閉鎖に踏み切った。

写真:鹿児島工場閉鎖について会見するNEC液晶テクノロジー上野敏彦社長(右)=4日午後4時55分ごろ、出水市大野原町の同工場

NEC工場閉鎖 鹿児島県などと緊急会議設置へ/出水市

(2009-03-05)
 NEC子会社のNEC液晶テクノロジー川崎市)が出水市大野原町鹿児島工場を12月で閉鎖する問題で、出水市は5日、市役所で緊急の会合を開き対応を協議した。県や経済団体などと「緊急経済雇用等対策会議」を立ち上げ、離職者の再就職支援などに全力を挙げていくことを決めた。
 対策会議は、県や市内の商工会議所・商工会、公共職業安定所、農協などに参加を要請し設置。早急に初会合を開き、派遣社員の雇用対策、離職者の再就職支援、跡地問題などを協議する。市民の雇用相談窓口は商工観光課内の緊急生活支援相談所に一本化し、企画政策課内のパイオニア支援室は廃止する。
 一方、18日をめどにNEC本社を訪問。事業を縮小するか別の生産部門を移設する形ででも、生産拠点を存続するよう要望する。

写真:NEC液晶テクノロジー鹿児島工場の閉鎖決定を受けて開かれた出水市の会議=5日午前、出水市役所

今度はNHKのニュースから。正社員を400人と言っている。

NEC 鹿児島の工場を閉鎖へ(NHK)

http://www.nhk.or.jp/news/k10014536361000.html

3月4日 12時29分
電機大手の「NEC」は、世界的な景気の悪化で受注が落ち込んでいることから、液晶パネルを製造している鹿児島県出水市の工場を、ことし12月に閉鎖する方針を決め、400人の正社員については、配置転換と希望退職で対応することになりました。

NECは、ことし3月期の決算で最終損益が2900億円の赤字に転落する見通しとなったことから、来年3月末までに、国内外で正社員1万人を含む2万人以上を削減する方針を示しています。これに伴って、国内の生産拠点の統廃合にも踏み込み、NECは、子会社で医療用や産業用の液晶パネルを製造している「NEC液晶テクノロジー」の鹿児島県出水市にある工場をことし12月に閉鎖する方針を決めました。液晶パネルは、世界的な景気の悪化で受注が落ち込んでおり、この工場で働くおよそ400人の正社員については、秋田市にある工場への配置転換を行う予定で、異動できない人には希望退職を募集します。NECは、こうした方針を4日午前、地元の自治体に説明したということです。大手電機メーカーの間では、ソニーパナソニックも工場の閉鎖や人員削減を進めており、メーカー各社の業績悪化による地域経済への影響が広がり始めています。

日経Tech-On! では「正社員250人を含む従業員370人体制」と言っていて食い違いがある。ほかに生産能力について言及あり。

NEC液晶テクノロジー鹿児島工場を閉鎖,従業員590人削減(日経Tech-On!)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090304/166707/

2009/03/04 14:32
赤坂 麻実=Tech-On!
 産業機器や携帯電話機向けの液晶ディスプレイ・モジュール事業を営むNEC液晶テクノロジー(神奈川県川崎市)は2009年3月4日,人員削減と工場閉鎖を発表した。液晶産業の需要の落ち込みと急激な円高で同社の業績は「未曾有の大幅な減収減益」になっているという。2008年度(2008年4月〜2009年3月)の売上高は300億〜350億円程度,営業損益は数十億円の赤字を見込む。2009年度も市場の回復が見込めないため,固定費の大幅な削減に踏み切る。

 同社は現有2工場のうち,鹿児島工場(鹿児島県出水市)を2009年12月末に閉鎖し,生産を秋田工場(秋田県秋田市)に統合する。鹿児島工場は1969年に設立。正社員250人を含む従業員370人体制で,生産能力は14型換算で8万6000枚/月である。拠点再編に伴ってNEC液晶テクノロジーは従業員(非正規を含む)を約590人削減する計画。現時点の1190人に対し,2010年3月末には600人体制にするという。

 NEC液晶テクノロジーは,この固定費削減で経営基盤の強化を図るとともに,医療機器やFA機器などの産業機器向け製品を軸として,3次元ディスプレイや電子ペーパーなどの新市場開拓に積極的に取り組むとする。

NEC液晶テクノロジーニュースリリース(日経)

NEC液晶テクノロジー鹿児島工場閉鎖など構造改革による経営基盤を強化

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=214281&lindID=4

構造改革による経営基盤強化について

 NEC液晶テクノロジー代表取締役社長:上野 敏彦、本社:神奈川県川崎市)は、産業系のカラー/モノクロ液晶ディスプレイモジュール等の映像表示装置事業をグローバルに展開すると共に、継続的な経営革新活動による事業強化を行ってまいりました。

 しかし、昨年秋からの米国における金融不安に端を発した世界同時不況により、液晶産業は需要の落ち込みに歯止めがかからず、また急激な円高による為替差損の増大などにより、当社は未曾有の大幅な減収減益となっております。来年度も回復の見込みが見えない市場環境下で事業存続を図るためには、固定費の大幅な削減が必須の状況となっております。

 このため、以下の構造改革の実施を決定し、今後、経営効率のさらなる改善に努めてまいります。

 1.現有二工場の内、鹿児島工場(鹿児島県出水市)を2009年12月末に閉鎖し、生産を秋田工場(秋田県秋田市)に統合します。
 2.生産の一拠点化に伴い、本社機能の一部(神奈川県川崎市)を秋田工場に移管・統合し、効率的な組織へ再編します。
 3.これに伴い希望退職を実施します。人員については現在の1,190名が、2010年3月末には概ね600名となる見込です。

 当社は今後、一連の構造改革により経営基盤強化を図るとともに、産業系の製品事業を機軸に、3D・電子ペーパー等の新技術による新市場開拓への積極的な取り組みに努め、お客さまへの製品供給・サービスを引き続き継続・強化してまいります。
 なお当社の概要は、別紙をご覧下さい。

以上

(別紙)

 ●NEC液晶テクノロジー社の概要
  本社所在地:神奈川県川崎市中原区下沼部1753
  設立:2003年4月
  代表者:代表取締役社長 上野敏彦
  資本金:30億円
  生産品目:産業系カラー/モノクロ液晶ディスプレイモジュール
  従業員数:1,190名(内、本社330名)

 ●鹿児島工場の概要
  所在地:鹿児島県出水市大野原町2080
  設立:1969年9月
  従業員数:370名
  生産能力:86,000パネル/月(14型換算)

 ●秋田工場の概要
  所在地:秋田県秋田市御所野下堤3−1−1
  設立:1981年6月
  従業員数:490名
  生産能力:132,000パネル/月(14型換算)

日刊工業新聞はNECの液晶事業終息に向けた段階的な措置と指摘。

NEC、鹿児島工場を閉鎖−12月末めど秋田に液晶生産集約

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320090305bjbb.html

 NECは4日、中小型の液晶パネルを生産する鹿児島工場(鹿児島県出水市)を12月末までに閉鎖し、生産を秋田工場(秋田市)に集約すると発表した。人員は約1200から600人に半減する。NECは液晶事業継続を表明しているが、一方で矢野薫社長は液晶事業を「EXIT(事業売却や撤退)領域」と定めており、終息に向けた段階的な措置との見方もある。
 NEC液晶テクノロジー川崎市川原区、上野敏彦社長)が鹿児島工場を閉鎖し、賃貸の土地や建物を返却。従業員は秋田への配置転換か希望退職を選ぶ。
 台湾や韓国勢が中小型液晶に本格参入し、価格競争が激化。NECは民生市場をあきらめ、特殊な産業用途に生き残りをかけた。第3―4世代の旧ラインの稼働を続け、顧客ごとの仕様に対応することで採算を維持してきたが、08年後半から経済環境が激変。08年度は営業赤字が二ケタ(億円)にのぼる見込みだ。
(掲載日 2009年03月05日)

日経九州経済面には記者会見の模様が少し載っている。
イオニアと合わせ、800人削減という話になっている。

NEC子会社が年内に鹿児島工場閉鎖へ(09/03/05)

http://www.nikkei.co.jp/kyushu/news/200903050000001653.html

 NECの子会社、NEC液晶テクノロジー川崎市)が鹿児島工場(鹿児島県出水市)を12月に閉鎖する方針を発表した。同市ではパイオニアも工場を2月末で閉鎖しており、2社で計800人が退職する可能性がある。地元は退職者の雇用や跡地利用など大きな課題を抱えることになる。

 NEC液晶テクノロジー工場は1970年に生産を開始し、医療や計測など産業用の液晶ディスプレーを製造していた。同社は従業員370人について生産を統合する秋田工場(秋田市)に配置転換する方針で、希望退職も募る。工場の土地は隣接していたパイオニアの所有で賃貸契約は解除する。

 4日に記者会見した上野敏彦社長は、閉鎖の理由について「下半期の出荷量が上半期に比べて半減し、来年度以降も需要が急速に回復する状態にない」と説明。「地域にご迷惑をかけて申し訳ない」としたうえで、退職者の再就職を支援する窓口を設置して対応する考えを示した。

 出水市では2月末のパイオニア工場閉鎖で500人以上が退職、跡地利用も決まらないまま。同市の渋谷俊彦市長は「早急に対策本部を立ち上げ、再就職などを支援していく」と強調。出水商工会議所の笠原啓稔会頭は「一層消費が冷え込む」と懸念を表明した。

5日になって少し突っ込んだ記事が読売から出ている。

NEC子会社の工場閉鎖に衝撃、従業員「頭真っ白」

http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/kagoshima/20090305-OYS1T00264.htm?from=nwlb

 「ポイ捨てされた気分だ」――。今年12月での工場閉鎖が決まった出水市の電機大手NECの子会社・NEC液晶テクノロジー鹿児島工場。従業員たちは4日、突然の閉鎖通告に驚き、失望の色を隠せなかった。同じ敷地内にあるパイオニアの工場は2月末に閉鎖されたばかり。このダブルショックに同市は「県や関係団体と連携したい」と話しているが、不況のなか即効性のある手だては見いだせそうにない。

 ◆従業員たち
 「テレビのニュースで知っただけ。会社からは何も聞いていない」。工場閉鎖の知らせに、同市の男性従業員(43)は怒りを込め、足早に工場を後にした。

 別の男性従業員(49)は「日本の製造業はどうなっていくのか」とため息を漏らした。「閉鎖の報告には頭の中が真っ白になったが、パイオニアの工場が閉鎖されたこともあり、『ついにこの日が来たか』という思いもある。ただ、この事実を家族にどのように説明すればいいのか……」と重い足取りで乗用車に乗り込んだ。

 また、40歳代の男性従業員は「会社側は撤退の理由について不景気だというが、会社の経営方針が間違っていた結果では。ここが無くなるだけでは終わらないのではないか。まったく先が見えない状態、どうしようもない」とつぶやいた。

 ◆社長の説明
 NEC液晶テクノロジー鹿児島工場の従業員は490人で、内訳は社員370人、派遣社員120人。社員は12月まで雇用されるが、その後は希望に応じて秋田工場(秋田市)に配置転換したり、希望退職を募ったりするという。派遣社員は4月から段階的に契約を解除する。

 同社の上野敏彦社長は同日午後、約250人の従業員に事情を説明。閉鎖の理由については「生産能力の効率性などを考えると、今後、会社が生き残るためには工場の閉鎖を選択するしかなかった」と説明したという。記者会見で同社長は「出水市では約40年の歴史があり、工場閉鎖は断腸の思い」と述べた。

 ◆出水市は
 NECは市の誘致企業として操業を始めて約40年。「出水市の顔」ともいえる。

 同市の人口は5万7400人。NECとパイオニアの両工場の従業員らは計約1000人。その多くが市外に職を求めた場合、家族を含め人口の約5%の約3000人が市を離れることになるかもしれず、地域に与える影響は計り知れない。

 上野社長と面会した渋谷俊彦市長は「規模を縮小してでもいいから、工場を残してくれないか」と社長に迫ったが、回答はなかったという。

 渋谷市長は「大変驚いている。NECの灯が出水から消えてしまうことは、市民感情としてもつらい」と険しい表情で語った。両工場の従業員の雇用問題や、合わせて約16万7000平方メートルにも上る跡地利用など課題は山積している。

 ◆当惑する県
 上野社長と親会社NECの鹿島浩之助専務ら3人は4日朝、県庁を訪れ、岡積常治副知事と六反省一商工労働部長に工場閉鎖の方針を伝えた。県によると、NEC側は世界同時不況や円高による業績不振を挙げ、「このままではNEC本体の存続が危ない」と閉鎖に理解を求めたという。

 県は同社がプラズマ生産に乗り出すのを機に、98年度に設備投資費などとして5億円の企業立地促進補助金を支給している。県産業立地課は「突然の話で驚いた。今は『はい、そうですか』と受け入れるわけにはいかない」と話し、今後、他製品の生産を同工場で行うなど、操業継続できるようNEC側に要求する。

 伊藤知事は「地元への十分な説明と雇用確保について、会社に対して誠意ある対応を要請したい」とのコメントを出した。

(2009年3月5日 読売新聞)

続いて朝日新聞。パイオニア閉鎖の話も少し合わせて。

鹿児島NEC工場閉鎖へ 正社員400人は配転か退職

http://www.asahi.com/business/update/0304/SEB200903040008.html

2009年3月5日1時42分
 NEC液晶テクノロジー川崎市)が4日、鹿児島県出水市の鹿児島工場を年内に閉鎖し、秋田市の秋田工場に統合することを明らかにした。鹿児島工場の正社員約400人には秋田工場への配置転換か早期退職を選ばせる。景気低迷と円高による受注減少が理由と説明している。

 親会社のNECは、09年3月期の連結決算で純損益が2900億円の赤字となる見通しで、グループで正社員1万人弱を削減する方針だ。電機メーカー各社も工場閉鎖や人員削減を進めており、正社員の配置転換を含めて大手9社で7万人近い削減が計画されている。

 液晶テクノロジーは、これまで非正規雇用の従業員を契約満了に伴って順次減らしてきた。残る数十人も雇い止めにする。正社員のほとんどは九州地区で採用し、秋田配転には抵抗が大きいとみられ、退職者が多くなりそうだ。

 出水市では、プラズマ・ディスプレー・パネルを生産していたパイオニア鹿児島工場が先月末に閉鎖した。同社は社員に「県外のグループ会社での勤務希望に応じる」としたが、職場は静岡などの遠隔地で希望者は57人だった。残りの532人は、そのまま退職したとみられる。

 出水市は緊急景気対策として臨時職員27人を1月から3月まで雇用し、09年度も23人の採用を予定しているが、出水公共職業安定所管内の今年1月の有効求人倍率は0.45と大きく落ち込んでいる。

毎日新聞。地元や県がのんびりしていた様子がうかがえる。

NEC液晶テクノロジー鹿児島工場、年内閉鎖 出水、県など関係者に衝撃 /鹿児島

http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20090305ddlk46020639000c.html

 ◇「続く撤退にショック」
 「まさか、NECまでが」−−。NEC子会社「NEC液晶テクノロジー」(上野敏彦社長)鹿児島工場(出水市大野原町)閉鎖発表で、地元出水市や、県など関係者に衝撃が走った。工場従業員は非正規を含め、約500人にも。出水市では、NECに隣接するパイオニア鹿児島工場が2月末で閉鎖したばかり。雇用や、地域経済が一段と冷え込むとの懸念が広がっている。【馬場茂、川島紘一】

 ◇NEC
 「出水の地から撤退することを地域の皆様におわびしたい」

 上野社長は記者会見であいさつするとともに「世界同時不況で液晶の需要が落ち込み、社の構造改革と経営効率化のため」と閉鎖理由を述べた。

 工場の社員は370人。希望者を秋田工場に転勤させるほか、希望退職を実施するという。また、120人の派遣社員は、生産体制に応じ、順次契約解除するとした。

 鹿児島工場は、69年9月、日本電気出水工場として操業開始。その後、鹿児島日本電気を経て、07年4月に事業再編で現社名に。医療や計測機器用の液晶ディスプレイを製造している。

 ◇出水市
 渋谷俊彦市長は「パイオニアに続く撤退にショックを受けている。NECは市の誘致企業の象徴的存在で、その灯が消えることは市民に精神的ショックを与え、市民生活にも計り知れない影響が出る」と語った。

 また、「県や商工団体などと連携し、しっかりとした善後策を立てたい」とも。近く、NEC本社に出向く意向を示し「何か鹿児島で出来るものを移してもらい、(NECの)根っこだけでも残してもらいたい、とお願いする」という。

 また市役所を訪れた女性(67)は「親せきの子が勤めているのに……。出水はこれからどうなるんだろう」と驚いていた。

 ◇県
 伊藤祐一郎知事は記者団に対し「企業の存続さえ危ぶまれている状況では、やむを得ないのだろう」と受け止める一方、「非正規も含めた500人近い従業員への対応は、万全を期してほしい」と要望。県としても雇用対策に全力を挙げる構えを示した。

 NEC鹿児島工場に対し県は08年12月、雇用の維持確保を要請したばかり。川畑洋一・産業立地課長は「受注が落ちているとは聞いていたが、いきなり閉鎖と聞いて驚いた」と困惑顔。「県としては、地元での雇用確保を引き続き求めていくしかない」と話した。

読売から追加報道。市の税収見込みについて情報が出ている。読売と毎日がこの問題を比較的重視しているように見える。

出水市  税収2億円減を予想  NEC工場閉鎖

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20090305-OYT8T01006.htm

 出水市のNEC液晶テクノロジー鹿児島工場の閉鎖問題で、同市の渋谷俊彦市長は5日、2010年度の市税収入が2億円減るとの見通しを示した。

 市税のうち、個人、法人の両市民税は前年の所得や業績に課税される。このため、パイオニアは2010年度以降、NECは2011年度以降の予算編成に更に影響を与えるとみられる。

 NECの工場閉鎖を受けて市が同日開いた対策検討委員会の終了後、渋谷市長は約500人が退職したパイオニア鹿児島工場の閉鎖で2009年度当初予算の市税が約2億1000万円の減収になったことを挙げ、「(NECの工場閉鎖でも)パイオニアに近い数字で税収が落ち込むだろう」と述べた。

 対策検討委には渋谷市長ら市幹部12人が出席。会合で組織の枠を越えて善後策を協議する「緊急経済雇用等対策会議」を新たに発足させることを決めた。同会議には県や商議所、公共職業安定所、JAなどが加わり、今後、NEC本社(東京都)を訪れ〈1〉鹿児島工場でのNEC事業の存続〈2〉4月から契約を順次打ち切る派遣社員120人の雇用対策〈3〉パイオニアの工場敷地を合わせた約16万7000平方メートルの跡地利用〈4〉正社員370人の再就職支援――などを要望する。上京の日程は18日で調整中。

 また、市企画政策課に置いていた「パイオニア支援室」を商工観光課の「市緊急生活支援相談所」に統合し、市民の雇用相談窓口を一元化することも確認した。

 渋谷市長は会合の冒頭、「関係機関と連携して難局を乗り越えたい」と述べた。

(2009年3月6日 読売新聞)

●リストラ策発表でNEC株が値上がりという報道。

【株式・大引け】3日ぶり反発、バブル後安値一時割るが内外の政策期待等で持ち直し(朝日新聞

2009年3月4日
http://www.asahi.com/business/toyo/market/TKZ200903040012.html

 4日の東京株式市場は3日ぶり反発、日経平均株価は前日比61円24銭高(上昇率0.85%)の7290円96銭で引けた。TOPIXも同5.24ポイント高の732.04と3日ぶりに反発。

…中略…

 個別銘柄で上昇が目立ったのは、日立建機(前日比83円高の1213円)やコマツ(同31円高の1036円)など建機株。「中国政府の追加景気対策への期待が高まった」(市場関係者)との見方が多かった。本日の取引時間中に、産業用液晶パネル工場の閉鎖などリストラ策を発表したNECも同9円高の232円と反発。政府の景気対策で公共事業の前倒しが期待されることから、日本道路が6円高の223円と高値更新した。

NECは既に1月段階で宇都宮市の工場閉鎖を決めている(NECトーキン)。
携帯電話向け角形リチウムイオン電池事業からNECが撤退、国内の正社員2800人中450人を削減するということ。他に兵庫(リードスイッチ→生産終了、電気二重層キャパシタ・圧電デバイス→移管)、岩手(シグナルリレー→白石へ移管)も閉鎖。

●関連:パイオニア出水工場閉鎖の報道

かごしま雇用危機 パイオニア工場閉鎖/出水 社長「再就職責任持つ」(南日本新聞

http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=15500

(2009 02/28 07:30)
 出水市大野原町のパイオニア鹿児島工場が27日、閉鎖した。閉所式は非公開であり、パイオニアプラズマディスプレイの藤田康郎社長は「最終日を迎え、あらためて残念な思い」と話したという。
 パイオニア広報によると、藤田社長は同日午前、渋谷俊彦出水市長を訪問し、閉所を伝えた。その後、工場であった式で、約400人の従業員を前に「一生懸命頑張った従業員に心から感謝したい。従業員の再就職は責任を持って最後まで取り組む。進路は別々になるが頑張ってほしい」と述べた。
 工場の生産は2008年12月23日終了。残務処理が行われていた。出水市によると、従業員511人が退職。57人が関東などのグループ内で配置転換するという。
 工場は1969年創業のNEC鹿児島(現NEC液晶テクノロジー)が母体。98年にプラズマパネル生産の新工場を稼働し、04年にパイオニアが事業を買収した。
 同社は08年5月、プラズマパネル事業からの撤退と同工場の閉鎖を発表。7月に次世代薄型パネル開発の会社が取得を表明したが、金融危機の影響などで資金のめどがたたず、11月断念した。

結局解雇は約450人か?再就職先を斡旋すると言うが…。今回の370人、報道に齟齬があるが、これが正社員でそれに加えて派遣社員120人とするなら計940人、派遣が370人に含まれるなら820人の雇用が1年程度でなくなることになる。

この記事で知ったことだけど、もともとNECの工場だったのね。今回の工場も同じ敷地内だし、地図見てりゃすぐわかったことなのになあ。それをパイオニアが買収したが撤退、ベンチャー企業が後継の名乗りを上げるも断念という経緯。