かごしま熱風録「過疎地に勝機あり」

以前メモしたものを再録

チャンネル :総合/デジタル総合
放送日 :2007年 2月16日(金)
放送時間 :午後7:30〜午後8:00(30分)
ジャンル :ドキュメンタリー/教養>ドキュメンタリー全般

【経済ジャーナリスト】三神 万里子

今、過疎地でのビジネスが注目を集めている。田舎らしさを武器に年間70万人もの買い物客を呼び寄せることに成功した「道の駅」、お年寄りへのきめ細かいサービスで年商50億円を超える「まちの電器屋さん」。番組では、これまでのビジネスの常識を覆し、人口減少と高齢化に悩む過疎地で成長を続ける3つのケースを取り上げ、その成功の秘訣と過疎地ビジネスが持つ可能性を考える。

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川辺町の道の駅
年商4億円を達成。週末は2万人が来場。
来客の多くは鹿児島市から車で40分かけて来る。
客の狙いは地元産の野菜、みそ、豆腐。毎日農家が納品しに来る。
揃えている品物は野菜、肉、加工食品を中心に1400点以上。
野菜は規格外、少量で市場価格の半値以下、これに惹かれて買いに来る。
わざと手書き・素朴な包装で「田舎臭さ」を演出
虫食い野菜で安心感、暖かい豆腐でできたて感。
4人の中心スタッフが商品開発。農家に依頼。

市場流通できず、従来自家消費していた作物に目を付けたことで、消費者と農家の双方にメリットができた。またその流通外になる特徴(規格外、少量、鮮度がすぐ落ちる)を活かすことで、地元感を強められた。
類似店舗が複数出現してきたので、特徴ある商品の開発を狙っている。

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この前行ってきたばかりの道の駅。確かに土曜日だったが多数の客が入っていた。
売られているものについては大体説明の通り。安さが爆発していたのに驚く。ただし、お米など結構高いものもあった。客はほぼ生鮮野菜などに集中。ほかの焼酎、お菓子などの特産土産物の類はあまり売れていない様子。
レストランが併設されている。割と人が入っている。メニューは普通。割安感もそれほどない。

この道の駅から中心市街地を挟んで反対側にA-Zというスーパーセンターが立地。ここは年商予定60億円。生鮮食料品もかなり攻撃的な値段を付けている。この道の駅とA-Zに挟まれて、川辺町の中心市街地にはほとんど人出がない。
これらの店舗を中心地に引き込まなかった・引き込めなかったのは、川辺町のまちづくりの上でかなり厳しい制約になっているように思われる。

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過疎地の電気店を傘下におさめる家電チェーン
経営が苦しくなってきた地方の個人経営の電気店フランチャイズにする。
フランチャイズで大量仕入れを実現、品数を絞り込んで集中させ、加盟店の販売管理を行いつつ、量販店並みの価格設定を可能にした。
きめ細かいサービスとアフターケアで顧客をつかむ。加盟店を指導。
競合店が存在できないような過疎的なエリアを狙って進出し、この地域の需要を独占するという狙い。大手が入りにくいほどの小さい需要をとりまとめていくことで利益を出す。
新規購入、設置、修理、買い換え、処分の全てのサイクルを一手に担うことを狙っている。

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フランチャイズで個人店舗を糾合することで価格面の不利を補い、経営指導するというのは確かにいい考え方だと思う。加盟店には経営環境悪化に直面していて加盟に動く見込みは十分あるし、POSとマニュアルを整備し、コンサル要素を入れ込めば大手にも対向可能なサービス内容を実現できる。本部としては出店コスト・リスクと調査も含めた時間を大幅に軽減できる。
地方の小規模店舗が生き残るためには、量販店でもネット販売でもできないきめ細かい顧客対応しかないというのはわかりやすいが、しかし量販店でもできないことではないのでこの点は競合する部分なのかなという気がする。
それと、家電のデジタル化が進展すると、かなり扱いにくくなるので、そういう点では顧客対応で差別化する余地は今後広がっていくのかなというふうにも感じる。
家電業界、特に地方で店舗選択の幅が限られる地域では、かつてスーパーの隙間を縫ってコンビニが台頭したときと同様の状況があるのかもしれない。

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開業医を集中誘致する薬局
病院の遠い地域に様々な診療科の開業医をまとめて立地させ、その処方箋を一手に引き受けることで薬局を成り立たせるという手法。

地域内に欠けている診療科を調べる
地域の医薬品流通量を分析→進出したときの医薬品需要を予想
独立を希望する医師に対して資金援助や開業手続きの手助けなどを行う
鹿児島県で各地に展開中。姶良町の「医療村」など。

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ビジネス未来人でも紹介されていたようだ。
http://www.nhk.or.jp/miraijin/bangumi/0507/7_08/1.html

この発想は面白いが、よく実現させたなあと思う。土地の確保から医師の確保まで取り組まないといけないことがもの凄くたくさんあったと思うので。