新潟大学が財政難から教員補充を一時停止する決定をしたという記事

新潟)新潟大、教員人事を凍結 財政難で原則2年間:朝日新聞デジタル(2016年2月4日03時00分)

 新潟大学は今後おおむね2年間をメドに、教員人事を原則凍結する方針を決めた。定年退職する教授が出ても、新規募集や内部昇任を控える。決定は1月28日付で、即日実施。2004年度の国立大学法人化以降、国からの運営費交付金が減少傾向にあり、同大の財政事情も厳しさを増す中、退職する教員の補充を控えることで人件費を抑える目的がある。

 高橋姿学長は「教員の給与を減らすわけにはいかないので、退職者の補充を控える形とした。苦渋の選択」と話す。5人分の空きポストができれば1人補充するなど、一部例外措置は設ける。新潟大は1月からは、50歳以上を対象とする教職員の早期退職募集制度も始めており、人件費の抑制策を進めている。

 一方、各学部では財政難のため、実験に必要な消耗品を教員がポケットマネーを使って購入するなどの事態も生じており、一部教員らは執行部の運営手法に反発。「新潟大学の現状と将来について考える教員有志の会」を設立し、先月27日には人事凍結に反対する300筆以上の署名を集めて高橋学長に提出していた。同会のある世話人は「状況を分析し、今後の対応を考えたい」と話している。(永田篤史)

私の知っている某大学では何年か前から同様の措置を執っている。2年という短期ではない。実際、人事案件は2年などという短期では人件費抑制効果は出にくいだろう。けれども、不補充という方針を貫くのはなかなか難しい。
1.だんだんとカリキュラムに穴が開く(不開講科目)が増えてくる
2.教員免許等の関係で、担当者不在にできない科目がある
3.学務が回らなくなる
などが生じてくるからだ。
今は、どこの大学でも、将来の少子化・減員に対応するために教員雇用を柔軟にしたい。そのために非常勤で対応したいが、非常勤だと常勤よりも科目の継続予測に不安があったり、基幹科目なのに非常勤でいいのか…という疑問が出たりする。それで、雇用期間が短い高齢教員を雇おうとすると、若手よりも高給が必要なので人件費抑制にならない。また、早期退職を促すと、退職金支出がかさむので、少なくとも短期的には財務が悪化する。このあたりはなかなか微妙なバランス計算が必要なところだ。必要な機能に必要な人数を配置して、経営可能な総人数(人件費)の枠内に抑えて、そして各機能を継承できるように年齢人口ピラミッドを作るというのは、計算問題としても複雑だけれど、将来構想など経営の意志決定とも関係するので簡単ではないのである。
新潟大のことは分からないが、国公立大は学生数に対する教員数の比率が私立大より高い、つまり手厚い教育が可能だが、反面教員人件費が重い。また、理系であればその傾向はもっと強い。というわけで、理系の比重が比較的高い地方国立大は、多少教員を減らしても教学は何とかなる(まだ余裕がある)という判断が出てくるのかもしれない。記事からは余剰人員が多いという認識が伺える。あるいはそうではないのかもしれないけれど。