山佐木材関係の報道など

世に出る異樹種構造用集成材、山佐と中国が初のJAS|日経BP社 ケンプラッツ

 国産材にこだわりを持つ設計者等にとって、ちょっといいニュース。林野庁は、異樹種構造用集成材で初の日本農林規格JAS)製造認可を山佐木材と中国木材の2工場が受けたと8月20付けで発表した。

 スギの曲がり材から得られる短尺材とベイマツとを混用し、従来のスギ構造用集成材に比べて曲げ性能を向上させたもの。同庁が98年度から2000年度にかけて実施した「ハイブリッドティンバー製造システム等開発事業」の中で、特に利用が進んでおらず価格の低いスギの間伐材や曲がり材等を他樹種と混用して有効利用する「異樹種集成材」の開発と、その製造に必要な加工機械等の改良を行って得られた成果が、これだ。

 メーカーによると価格や出荷時期などは検討中だが、外材と競争できる価格としたい考え。国産材に愛着を持つ建築主や設計者等の物件、また大断面集成材を使うような建築物の一部への利用等が想定されている。

林業再生における木材の用途開発の一端ということで。
儲かる林業研究会の設立

儲かる林業研究会の設立について

設立趣意

 「国産材の時代」という言葉が期待と希望をもって語られたのはいつの頃だったろうか。しかしながら国産材のシェアは年々低下し、今や20%を切っている。林業関係者の間には「輸入材の流入が激しく、このままでは林業はやっていけない」との悲観論が台頭してきている。

 それでは輸入材はなぜかくも大量に流入しているのだろう。それらの木材輸出国は国情が安定し、豊かな生活を営んでいる北米やヨーロッパであり、森林資源管理が適切に行われ合理的な林業・木材加工体制が確立し、国際競争力を確保している。今後もその充実した資源をもとに国際的なマーケットへの展開を続けていくであろう。このような状況下で国産材は抜本的な手を打たない限り、常にそして永遠に熾烈な国際競争に勝つ見通しが立たないのである。

 我が国は森林面積が十分に広く、森林資源が充実しつつあるにも関わらず、国際競争力において一方的な劣勢にある。まさにわが国の林学、木材工学、経営技術、更には行政・民政の資質までが問われかねない局面であり、国産材に関わる者としてこの惨状を座視できない。

 一方、木材価格が低迷を続ける中、拡大造林期以降育成されてきた人工林は、間伐や再造林が進まず環境機能も十分発揮できない質的低下が生じている。これら人工林を健全に育成するには間伐などの保育が必要であり、そのために間伐材などの販路・収益拡大が必須である。また、大規模なスギの集成材工場、合板工場の出現により国産材の大量消費がはじまりつつある。さらに、製材設備の革新により従来では利用できなかった原木の利用が可能となり、新しい育林体系・素材生産の仕組みが必要となってきている。

これらの課題を克服するために、日本、特に南九州地域における持続的な林業・国産材利用の姿を提示することが必要であり、例えば、市場逆算価により許容される低コスト林業の提案とともに、国産材の販路・収益拡大のための方策を徹底的に研究すべきである。問題は大きいように見えるが、個々の問題をきちんと解決していけば展望は必ず開ける。

まず悲観主義・他力本願から脱しよう。ここに有志を募り、それぞれの専門分野・職域の壁を取り除き、目標に向かって問題を解決していきたい。そこで、国産材を資源として再び位置づけ、活力ある新たな国産材産業を創造するために、川上・川下を含めた産官学関係者で「儲かる林業研究会」を発足させる。国内林業や国産材を取り巻く事態は急を要している。この研究会では以下の目的を掲げ,目標を達成するため3年間を目途に活動して行きたい。問題意識を共有する仲間を募り、研究会への参加を呼びかけたい。

研究会の目的

 人工林の健全化、木材の持続的安定供給を可能とする新しい国内林業の姿を提示することにより、林業経営者を激励し山村地域の振興を図り、ひいては森林資源の循環利用の推進などに寄与すること。

3年間の目標

林業がやり方次第で儲かる仕事であることを提示する

・価格、品質、供給力で輸入材に対抗できる競争力モデルを確立する

・持続的で安定した木材の生産体制を構築するための手法を確立する

平成17年11月1日

設立発起人

鹿児島大学農学部長 下川悦郎

九州森林管理局長  島田泰助

鹿児島県林務水産部長 諏訪弘美

鹿児島県森林組合連合会副会長 平瀬戸 茂

肝属木材事業協同組合理事長 佐々木幸久

この人たちがどんな風に問題をとらえているか、わかりやすくまとめられている。すでに設立から3年すぎてしまったわけだが、現在はどんな活動をしているのか興味がある。林業関係ではいろいろと野心的・革新的な取り組みをしている人も結構いるようだが、ある程度の期間が過ぎて、現状は少しでも動きつつあるのだろうか。このあたりを調べてみたいとは思っているのだが。
日刊木材新聞 平成20年7月

◆ 山佐木材、生産増強へライン整備進む
乾燥機の増設も視野に
   山佐木材(鹿児島県 佐々木幸久社長)は、杉KD羽柄・小割材、ラミナの生産増強に向けた一連のライン整備を進めている(詳細は日刊木材新聞20年7月8日付1面で)

◆ 特集『地球温暖化を食い止める―森林と木材の役割』(5)
・木材のライフサイクルアセスメント評価
・唯一の持続可能な天然資源”木材”
・カーボン・ニュートラルでCO2一定量
・木材生産活動への認識低い
   日刊木材新聞が5月から5回に渡って、掲載している特集『地球温暖化を食い止める―森林と木材の役割』の最終回では、木材と鋼材、コンクリートを使用した戸建規模のシミュレーションで、環境負荷の評価を算出したカナダの「アシーナプロジェクト」を紹介しているほか、唯一の持続可能な天然資源である木材の特徴や木材の環境適合性の高さ(CO2吸収源機能)、木材生産活動への認識の低さなどについて解説している。企業編の掲載企業は、王子木材緑化、ウイング、こびき屋、すてきナイスグループ、山佐木材、丸美産業、エヌ・アンド・イー。(詳細は日刊木材新聞20年7月8日付3〜6面で)